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空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の                 愛妻家の食卓

空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の     愛妻家の食卓

『ニャジロウと力丸と疾風(ハヤテ)』

『ニャジロウと力丸と疾風(ハヤテ)』

俺はニャジロウ様の1番弟子「力丸」そして、2番弟子、双子の弟の〔疾風〕
これから俺たち兄弟がニャジロウ様の弟子となった物語を語ろう・・・

俺たちは双子、いや・・・兄弟はまだ他に居たかも知れないが、憶えてはいない。
俺たちは幼い頃に親猫に育児放棄をされ、2匹で生きてきた。

そう・・・懸命に・・・
子猫2匹が自力で生きていくことは簡単ではなかった。

いつも俺たちは命がけで生きてきた・・・他の猫たちよりも懸命に・・・
と、いうのは弟の疾風には生まれながら後ろ足の障害があった。

〔ごめんね兄ちゃん、いつも僕が足手まといで・・・〕

疾風はいつもそんなことを気にしていた。

「何を言うんだ、お前は俺の一部、俺がいつでも守ってやる」

俺は本当にそう思っていた。1匹でも命をかけて生きなければいけないこの厳しい世で
馬鹿だと言われようが俺は疾風を見捨てる気はなかった。

〔ごめんね・・・〕

「疾風、俺に謝るな、俺が誰よりも強いのは知ってるだろ?」
〔うん・・・〕

「そんな俺が1番大切で1番必要なのはお前なんだ・・・」

強がりでも何でもない、俺は疾風が生きがいになっていた。

「足の方はどうだ?」
〔うん、変わりない〕

疾風は足に感覚すらなかった。後ろ足を引きずり、前足だけで前に進む・・・
俺は食料を求める以外はいつも、ぴったりと疾風の後ろに居た。

決して急かさず、後ろから見守っていた・・・しかし・・・

ある日、俺が気を緩めてしまったせいで、俺たちは車にはねられた・・・

〔兄ちゃん!逃げて!〕
「いや、間に合わない・・・」

ドンッ!!

俺たちは一瞬にして宙に舞い上がった・・・

「こんなに簡単に・・・疾風・・・」

軽かったせいか、少し遠くに疾風は飛ばされた。

「・・・待ってろ、今・・・兄ちゃんが・・・」

全身に痛みが走り、思うように動けなかったが、
それでも地を這って疾風の所に向かった。

「・・・疾風・・・」
〔にい・・・〕

疾風はもう息を引き取る寸前だった・・・
俺も血と一緒に力が抜けていくのが分かった・・・が・・・

「・・・疾風、俺より先に死ぬな・・・俺はお前を生かすために生きてきたんだ・・・」

〔・・・〕
「嫌だ・・・どうしてだ・・・」

俺は横たわる疾風の横に寄り添い、願い続けた・・・

すると、そこに1匹の猫がやってきた。

『・・・幾億の命を見取ってきたが、これほどの強い意志を感じたのは初めてだ』

「・・・誰だ・・・」
『オレはニャジロウ』

それがニャジロウ様との出会いだった。

『お前はとても強い魂を持っている、ここで朽ちるのは惜しい、
助けてやるからオレの弟子となれ』

「弟子?・・・何でもいい、俺のことはいいから疾風を・・・」
『・・・その心も気に入った、さぁこれを飲め』

ニャジロウ様は俺の口に小さな何かを入れた。

「うっ!・・・」
『苦薬だ』

すると、ニャジロウ様は疾風にも同じくそれを飲ませた。

「・・・身体の痛みが引いていく・・・」

〔兄ちゃん・・・〕
「疾風!」

俺たちは元以上に身体をよみがえらせた・・・

「あなたは一体・・・」

『どうだ?オレの弟子になるか?』
「でも、疾風が・・・」

〔兄ちゃん!足が!〕

見ると、疾風が後ろ足をしっかり地に付けていた。

『一緒ならいいのだろ?どうやらお前たちは1つのようだからな』

「はい・・・よろしくお願いします」
〔よろしくお願いします〕

『では、行こう・・・』

終わり。

1番目の弟子、力丸 と 2番弟子、疾風の物語でした。

今日も読んでくれて感謝しますm(__)m

ちなみに名のとおり力丸は『力』疾風は『速さ』の能力をニャジロウにもらいました

蘭風は3番弟子、ノラヘイは5番弟子・・・そして、4番弟子は・・・


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